唐津の隠れ家コーヒースタンド「shukuba」訪問記|看板なし・SNSなしのスペシャルティコーヒー

唐津の隠れ家コーヒースタンド「shukuba」訪問記|看板なし・SNSなしのスペシャルティコーヒー

佐賀県唐津市の隠れ家コーヒースタンドshukuba訪問記。看板もSNSもなし、サイフォン×金属フィルターで淹れるスペシャルティコーヒーの魅力をレポート。


この記事でわかること

  • shukubaとはどんなコーヒースタンドか
  • 唐津シーサイドホテルから徒歩圏内でスペシャルティコーヒーを飲める場所
  • サイフォン×金属フィルター抽出の特徴
  • Option-O(オプション・オー)グラインダーの性能と価格感
  • 有田焼RISOカップ・小鹿田焼・KINTOサーバーなど、こだわりの器具について

結論から言うと、shukubaは「コーヒー好きなら唐津でぜひ訪れたい一軒」でした。唐津シーサイドホテルに宿泊した際、ホテルから近いカフェを検索していたところ、インスタでshukubaを紹介している投稿を見つけました。shukuba自身はSNSを一切運用されていませんが、来店した方がインスタで紹介してくれることがあるとのことで、それが唯一の情報源でした。

shukubaとの出会い

shukubaに関する情報は、ほとんどどこにも載っていません。インスタグラムの公式アカウントはなく、Googleマップにも掲載されておらず、看板も出ていません。私が訪問した時点(2026年5月)ではGoogleマップで見つけることができませんでした。それでも、コーヒー好きの間でじわじわと口コミが広がっている小さなお店です。

唐津シーサイドホテルから徒歩10分ほど。住所は佐賀県唐津市東唐津2丁目2−20。元々自転車屋だったという古い建物を改装した店舗は、外から見ると本当に営業しているのかどうか半信半疑になります。

shukuba外観(建物全体)

入口には手書きの「OPEN」サインとともに、駐車場の案内を示した木製の看板が置かれています。

shukuba入口のOPENサイン

私が入店した際は、誰も店内におらず、カウンターに置かれたメニュー表を見ているとしばらくして、マスターが「すみません。」と言って現れ、そこでようやく「本当にコーヒーが飲めるんだ!」と思いました。

マスターいわく「不定期でゆるくやっている」とのことで、営業時間も特に決まっていません。観光客や外国人の方が「コーヒー店なのか、開いているのか」と尋ねてくることも多いといいます。

店内の雰囲気

扉を開けると、予想以上に落ち着いた空間が広がっていました。古民家の建具をそのまま活かした内装で、障子や格子窓の木枠が残る壁に、モルタル仕上げのカウンターが組み合わさっています。ゆっくりと落ち着き、長居したくなる雰囲気です。

shukuba店内(カウンター・サイフォン)

カウンター席に座ると、目の前にはHARIOのサイフォンが2台並んでいます。ビームヒーターの赤い光が揺れていて、それだけで十分に絵になります。

shukubaバックヤード・木製ラック

壁沿いには作家物の雑貨や本が並ぶ棚があります。パウンドケーキのPOPにはさりげなく小さな花が添えられていて、細部まで丁寧に作られた空間だと感じました。

shukubaの棚と什器

コーヒーについて

メニュー

この日のシングルオリジンは6種類でした。

産地農園・ロット精製方法価格
エルサルバドルGrowing TogetherFully WashedHOT ¥700 / ICED ¥750
ケニアMaguta EstateSuper NaturalHOT ¥1,600 / ICED ¥1,800
エチオピアUragaWashedHOT ¥700 / ICED ¥750
ケニアGatumbiWashedHOT ¥700 / ICED ¥750
ホンジュラスBuena EsperanzaNaturalHOT ¥700 / ICED ¥750
グアテマラSan CristóbalNaturalHOT ¥700 / ICED ¥750

コールドブリューは¥650、カフェオレは¥700です。

shukubaメニュー表

グアテマラ・サン クリストバルを注文

店内ではグアテマラ・サン クリストバルのホットを注文しました。Natural精製で、チェリーやグレープ、プルーンのような果実感が特徴とメニューに書かれています。

実際に飲んでみると、しっかりとした甘みとほどよい酸味が重なり合い、カカオのニュアンスとリッチな質感が後から続きました。サイフォンで抽出したことによるオイル感がコーヒーに丸みを与えていて、いつものドリップとは違う飲み口でした。

shukubaのコーヒー(カップとサーバー)

コールドブリューはエルサルバドルのみの対応で、こちらはテイクアウトで持ち帰りました。深煎りながら全体的にまろやかで丸みのある苦味と甘みがあり、香ばしさが十分に引き出されていました。すっきりとしていて飲みやすく、コールドブリューとの相性が良いと感じました。

コーヒーオイルが浮いたサーバー

サイフォン抽出について

shukubaでは全てのコーヒーをサイフォンで抽出しています。使用しているのはHARIOのサイフォンとビームヒーターで、抽出時間は1分とのことでした。

shukubaのサイフォン(全体)

フィルターは金属フィルターを使用しています。ペーパーフィルターと違ってオイル分がそのままコーヒーに溶け出すため、表面にオイルが浮いているのが見えます。このオイルこそがスペシャルティコーヒーの個性をダイレクトに伝える要素のひとつです。

サイフォン抽出中のアップ

自家焙煎をしている立場から言うと、豆の個性を最大限に引き出したいときにサイフォン+金属フィルターの組み合わせは理にかなっていると思います。ただし、豆の欠点もそのまま出やすいという側面もあります。shukubaのスペシャルティコーヒーのクオリティあってこその選択だと感じました。阿蘇で収穫したコーヒーを将来的にはサイフォンで淹れてみたいと思いました。

器について

有田焼 RISO

コーヒーが出てきたとき、まずカップの存在感に目が行きました。木目のようなテクスチャーが刻まれた独特の質感で、茶色・黒・白の3色が揃っています。有田陶器市でマスターの目に止まり、気に入って購入されたとのことでした。底面を確認すると「RISO」の刻印がありました。有田焼のブランドです。

有田焼RISOカップ(茶色)

有田焼RISOカップ(黒・白の2種)

カップ底面のRISO刻印

KINTO SLOW COFFEE STYLE

コーヒーサーバーはKINTOのSLOW COFFEE STYLEシリーズでした。シンプルなガラスサーバーで、コーヒーの色と液面のオイルがよく見えます。

KINTOサーバー底面の刻印

小鹿田焼

マスターが使用している小鹿田焼のマグカップを見せてくれました。緑と茶色の二層釉薬が印象的な、風格のある一点ものです。

小鹿田焼は大分県日田市の山奥に伝わる焼き物で、一子相伝で技術が受け継がれてきた窯元による陶器です。産地以外ではなかなか目にする機会がありません。

小鹿田焼マグカップ

グラインダーについて

カウンターに置かれている黒いグラインダーが気になって聞いてみました。オーストラリアのメーカー「Option-O(オプション・オー)」の電動グラインダーだといいます。

粉の挽き残りが少ないため(10g挽けば10g出てくる)、豆のロスが少ないのが特徴のようです。均一性はコマンダンテと同等レベルの精度とのことです。shukubaで使用しているのは下から2番目のサイズで、1回に30g程度まで挽けます。価格は10万円前後。家庭用グラインダーとしては高価ですが、非常に高性能でデザイン性にも優れており、私も購入したくなりました。

Option-Oグラインダー

家庭用として検討するなら、同ブランドのミニサイズかこのサイズが使いやすいとのことでした。コスパ重視であればコンパクトでアウトドアでも使用しやすく、電動と手動の両対応が可能である「エペイオス」というブランドを教えてもらいました。Amazonで34,000円程度から購入できるようです。

フードについて

この日のフードは「Got’s Pound Cake」でした。クランベリーとホワイトチョコレートの2種類で、各¥350です。店内でのみいただくことができ、テイクアウトには対応していません。

テーブルには小さなガラスの花瓶に摘み草が飾られていて、素朴で丁寧な空間づくりが伝わってきました。

Got's Pound CakeのPOP

マスターについて

元々は関東でコーヒー関連の仕事をしていたといいます。その後福岡に2年ほど住み、唐津の魅力に惹かれて移住してきたそうです。

「ゆるくやっている」という言葉通り、営業日も時間も決まっていません。SNSも出していないし、ホームページもありません。それでも、一杯一杯のコーヒーのクオリティは本物です。

静かで落ち着いた空間の理由が、その営業スタイルにあることがわかりました。看板がないことで、知っている人だけが来る。半信半疑で入ってきた方が、一杯飲んで驚く。そういう体験を積み重ねている場所だと思いました。

アクセスとまとめ

shukuba

  • 住所: 佐賀県唐津市東唐津2丁目2−20
  • アクセス: 唐津シーサイドホテルから徒歩約10分
  • 営業: 不定期・営業時間なし(インスタ・Googleマップ未掲載)
  • メニュー: シングルオリジン HOT ¥700〜・コールドブリュー ¥650・カフェオレ ¥700
  • フード: Got’s Pound Cake ¥350(店内のみ)
  • テイクアウト: コーヒーのみ可
  • 子連れ:
  • 看板: なし
  • 駐車場: あり(入口看板に案内図あり・詳細は要確認)

唐津城や唐津シーサイドホテルの観光と合わせて立ち寄れる、コーヒー好きにとっての穴場スポットです。サイフォンで丁寧に淹れられたスペシャルティコーヒーを味わいたい方には特におすすめです。「開いているかどうかわからない」という不確かさも含めて、訪れる価値がある一杯だと思います。